【実銃ネタ】ナイツ・アーマメント KS-1 ライフルをイギリス軍がL403A1として調達開始
2023年9月、イギリス国防省が陸軍レンジャーと海兵隊特殊部隊で使用する新型ライフルとして、KAC(Knight’s Armament Company:ナイツ・アーマメント)の KS-1 を調達することを発表した。 KS-1 のイギリス軍での呼称はL403A1となり、今後10年間で1万丁の購入を計画している。
これはイギリス軍が進めているAIW(Alternative Individual Weapon)システムの一環によるものであり、 KS-1 (L403A1)に搭載される低倍率可変スコープ(LPVO)、ミニレッドドット(RDS)、バックアップ サイト(EBS)のほか、訓練用の空包システム(SBFS)とマーカーラウンドトレーニングシステム(MRTS)も含まれる一式のシステムとして納入される。陸軍ではすでに1620台のAIWシステムの配備を開始しており、2023年末には最初のL403A1が納入される予定とのこと。
現在特殊部隊で使用されているSA80系、L85系、L119系のライフルは順次、AIWシステムを搭載したL403A1に置き換えられていき、イギリス全軍で現役且つ改修計画も進めているL85A2やL85A3を補完するライフルとして期待される。
AIWシステムの内容
ライフル:Knight’s Armament Company KS-1
KAC(ナイツ・アーマメント)が軍事向けに製造するKnight’s Stoner 1と名付けられた最新世代の5.56mmカービンでSR-16の後継にあたり、13.7インチバレルとURX6ハンドガードが装備されている。カラーリングはダークアース。実包用のサーマルカバー付きQDC/MCQ-PRTサプレッサーのほか、トレーニング空包用のPRT SBFSも付属する。
スコープ:Vortex Optics 1-10x LPVO
具体的な機種名は明記されていなものの、軍事向けでのみ製造されるVortex AMG 1-10×24 FFPが搭載される。RAZOR HD Gen3よりもショート且つ軽量で、1倍率も持つLPVO(Low Power Variable Optic)として今後のスタンダードとなることは必至のスコープだ。
マウントにはREPTILIA AUSが採用されるが前方のリングがREPTILIA ROF 90に変更され、そこに近距離戦を考慮してAimpoint ACRO P-2が搭載される。
MAGPULパーツ
イギリス軍仕様の KS-1 ではストックはMAGPUL(マグプル)SL-Kの代わりにCTRが装着されるが、そのほかにも多くのマグプルパーツがAIWシステムに採用されている。グリップはMIAD、マガジンはPMAG、バックアップサイトはMBUS PRO、フォアグリップはM-LOK AFG、レールアタッチメントはM-LOK 5SLOT、スリングはMS4と多岐に渡っている。
フラッシュライト:SUREFIRE MINI SCOUT LIGHT PRO
ウェポンライトには定番のSUREFIRE(シュアファイア)MINI SCOUT LIGHT PROを採用。ライフルカラーに合わせダークアースカラーモデルとなる。
サプレッサー:KAC QDC/MCQ-PRT with Thermal Cover
サプレッサー/サイレンサーはライフル同様KAC製のPRT ショートサプレッサーが採用されている。名前の通り非常に短いサプレッサーだが、既存の平均的サイズのサイレンサーと比較しても抑制効果が高く、技術の粋を集めた最新のマズルデバイスとなる。射撃時の熱を吸収したサプレッサーがサーマルビジョンで捉えられぬよう、専用のサーマルカバーが取り付けられているのが特徴だ。
サプレッサー単体ではQDC/MCQ-PRTとして民間向けの製品展開もしているようだが、サーマルカバーについては軍関連のPR画像とKAC公式Youtubeで発表している以外、情報はまだ少ない。
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その他のアクセアリー
MAGPUL AFG はアングルの付いたフォアグリップであるため、別途バーチカルフォアグリップとしてRALISCALES RSBM-Pも付属する。また同社の代名詞でもあるレールカバーもオプションとして提供される。
KS-1 のハンドガードはQDスイベルソケットが省略されているため、ライフル前方へのスリング装着にはREPTILIA SOCKETが用意される。
スコープ用のオプションでは、レーザー光から眼を守るSENTINEL PHOTONICSのFROSTフィルターも付属する。
SBFSシステム
トレーニング用のSBFS(Safe Blank Firing System)には空包やマーカー弾用にトレーニングブルーのボルトキャリアを含むシミュレーション・コンバージョンキットとマガジンが含まれる。トレーニングキットにはマーカーラウンドトレーニングシステム(MRTS)として専用防具も含まれる。
名だたる競合を押さえた KS-1
イギリス軍のAIWシステムは2021年から選考が行われてきたが、KAC KS-1 はH&K、SIG SAUER、DANIEL DEFENSE、GLOCKなど名だたるメーカーの競合を押さえての採用となった。イギリス軍といえば近代まで国産アサルトライフルを配備してこなかった反動からか、L85シリーズの登場以降は数々の問題を指摘されながらも手放そうとしていない。それ故、特殊部隊ではM16系ライフルを採用する流れが常となっており、結果的には世界的に注目を集めるコンペとなった。
KACは、既に特殊部隊系のアサルトライフルやマークスマンライフルで数々の組織から信頼を得ており、イギリス軍での採用も驚くほどの結果ではない。それでも、今回のAIWへの採用はサバゲー業界にとっても影響の大きい出来事にはなりそうだ。
KACがライセンス提供しているVFCや、まだまだレプリカパーツのリリースも少ないURX5やURX6などのハンドガードなど、今後のエアソフト向けKAC製品の動向が加速することが予想される。
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